
遺言書とは
遺言書とは、自分が亡くなった後の財産の分け方や、誰にどの財産を引き継いでもらうかについて記載する書類です。遺言書を作成しておくことで、自分の最終意思を相続人などに伝え、その内容を実現してもらうことができます。また、遺言書を作成しておくことで、相続人同士のトラブル予防になることがあります。
遺言書を書くメリット・必要性
自分の希望どおりに財産を引き継いでもらえる
遺言書を作成することで、「Bに土地と建物を相続させる」「Cに預貯金を相続させる」「Dに自動車を相続させる」といったように、自身の意思に基づいて財産の分け方を指定することができます。
もっとも、特定の相続人に著しく多くの財産を相続させる内容の場合には注意が必要です。例えば、不動産の大半を一人の相続人に相続させ、他の相続人にはわずかな預貯金しか残さないようなケースでは、後に遺留分侵害額請求が行われる可能性があります。
そのため、遺言書を作成する際は、相続人の遺留分にも配慮しながら財産の配分を決めることが重要です。
相続人同士のトラブルを防ぎやすい
これが、私が考える遺言書を作成する最大のメリットです。
遺言書を作成せずに亡くなった場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、相続財産の分け方を決めることになります。例えば、配偶者と子ども2人が相続人である場合、法定相続分は配偶者が2分の1、子どもがそれぞれ4分の1ずつとなりますが、実際には相続人全員の話し合いによって分け方を決めることになります。
相続財産が預貯金のみであり、特定の相続人に多く財産を残したいという希望がないのであれば、必ずしも遺言書を作成する必要はないかもしれません。
しかし、相続財産の中に不動産が含まれている場合には、誰が取得するのかを巡って意見が対立することがあります。その結果、いわゆる「争族(そうぞく)」となり、親族間の関係が悪化してしまうケースも少なくありません。
相続トラブルは感情的な対立に発展しやすく、一度揉めてしまうと解決までに長い時間を要することがあります。また、調停や訴訟に発展した場合には、精神的な負担だけでなく費用もかかります。
相続人を争族にしないためにも、自身の意思を明確に示した遺言書を作成しておくことが望ましいでしょう。
相続人以外の人にも財産を残せる
これは遺言書を作成する大きなメリットの一つです。
相続人以外の人に財産を残したい場合、遺言書を作成しておかなければなりません。どれだけ生前にお世話になった人であっても、相続人でなければ法律上当然に財産を受け取ることはできないからです。
例えば、長年連れ添った内縁の配偶者がいたとしても、遺言書を作成せずに亡くなった場合、原則として内縁の配偶者は相続財産を受け取ることができません。熱心に介護や療養の世話をしてくれていたとしても、法定相続人ではないためです。
また、孫に財産を残したいと考えていても、その親である子どもが存命である場合、通常は孫が相続人になることはありません。そのため、遺言書がなければ孫へ直接財産を承継させることはできません。
相続人となるのは、配偶者や子ども、直系尊属(父母など)、兄弟姉妹といった法律で定められた人に限られます。そのため、これらの相続人以外の人に財産を残したい場合には、遺言書によって遺贈の意思を明確にしておく必要があります。
遺産分割協議をする必要がなくなる
「遺言書」がなければ、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。相続人同士で意見がまとまらなければ、手続きに時間や手間がかかるだけでなく、相続トラブルに発展することもあります。
無事に話し合いがまとまった場合には、その内容をまとめた「遺産分割協議書」を作成するのが一般的です。しかし、遺産分割協議書は不動産の相続登記や預貯金の解約手続きなどで使用される重要な書類であるため、内容に不備がないよう作成しなければなりません。
そのため、行政書士や司法書士、弁護士などの専門家へ作成を依頼するケースも少なくありません。
見方を変えれば、遺言書を作成しないことによって、相続人に遺産の分け方を決める負担や各種手続きの負担を残してしまうともいえます。
遺言書を作成しておけば、被相続人の意思に基づいて財産の承継先が明確になるため、相続人の負担を軽減し、円滑な相続手続きにつながる可能性があります。
遺言書を書いた方がよい人
次のような方は、遺言書の作成を検討した方がよいでしょう。
- 相続財産が金銭のみなど単純でない
- 特定の相続人に多く財産を残したい方(法定相続分を変えたい)
- 内縁の配偶者や孫など、相続人以外の人に財産を残したい方
- 相続人同士の仲があまり良くない方
- 再婚しており、前婚の子どもがいる方
- 相続人の負担をできるだけ軽くしたい方
これらに当てはまる場合、遺言書を作成しておくことで相続トラブルを予防できる可能性があります。
まとめ
遺言書とは、自分が亡くなった後の財産の分け方や承継先を指定するための重要な書類です。
遺言書を作成しておくことで、自身の希望どおりに財産を引き継いでもらえるだけでなく、相続人同士のトラブルを防ぎやすくなります。また、内縁の配偶者や孫など、相続人以外の人に財産を残したい場合にも遺言書は欠かせません。
さらに、遺言書があれば遺産分割協議が不要となるケースも多く、相続人の負担軽減にもつながります。
もっとも、遺言書は法律で定められた方式に従って作成しなければ無効となる可能性があります。そのため、確実に自身の意思を実現したい場合には、行政書士などの専門家へ相談しながら作成することをおすすめします。
当事務所では、遺言書作成のサポートも行っております。京都で遺言書の作成をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
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